『ゆるく考える』東浩紀

今回T-Bookで紹介する本として選んだのは

東浩紀さんの『ゆるく考える』という本です。

みなさんはこの「ゆるく」という言葉を聞いて何を想像しますか?
「ゆるく生きる」「ゆるく考える」「ゆるキャラ」検索ワードを眺めている数分間。
もしも僕がある休日の午後に「幸せな若者のゆるい生き方」なる記事を見つけたら、とりあえず無視するでしょうね。僕だけでなく自分がまじめだと思っている人たちにとっては。
僕はどちらかと言えば「まじめな人間」といわれることが多く、また自分でも「まじめな生き方」が合っていると思うので。親しい友達もどちらかと言えばそのタイプが多いかもしれません。

でももし10年後、100年後、この地球で生きる人たちがみんな「まじめな生き方」をしていたら、それはそれで生きづらいかもしれないですね。

「まじめ」の基準は人によって違いますし、まじめって時々疲れるじゃないですか。
かといって「ゆるい」だけの世界なら僕はもっと疲れます。

それよりも自分の生き方が「まじめ」とか「ゆるい」とか誰かの言葉で意識化された瞬間に、人は何らかの違和感を感じてしまうのかもしれませんね。
こう考えると人の考え方とか生き方って難しい。

この先ほんとうの意味で「私の生き方」が尊重される世界は互いを区別するような言葉自体が無いような、そんな世界なのかも。

というわけでT-Bookでは憧れに似た思いから「ゆるーく」という言葉で使わせてもらってます。
前置きはここまでにして感想入りますー。

 

東浩紀さん(あずまん)の『ゆるく考える』

 

・結論
批評家としてとかじゃなく、あずまんの言葉選びと生き方は最強。

 

参考はこちら

https://finders.me/articles.php?id=859


11年間に渡る批評を集めた平成最後のエッセイ集。内容には大変満足しました。
「評論の文章がネタにしかならない」という現実に苦悩するあずまんの生き方(っていうより生き様)は必見です。参考までに、本編で語られていた主な登場人物と作品をまとめてみました。

・主な登場人物
東浩紀:批評家、作家、株式会社ゲンロン創業者
黒瀬陽平美術評論家
ジャック・デリダ:フランスの哲学者
プラトンギリシャの哲学者
ソクラテスギリシャの哲学者
ジャン=ジャック・ルソー:フランスの哲学者 『社会契約論』の著者
アイザック・アシモフ:20世紀を代表するSF作家
2009年3月に東浩紀は『ルソー全集』(全14巻)を7万5000円で購入した。
柄谷行人:批評家
東浩紀は氏の文章ではじめて文芸誌に接した。
宮台真司社会学
氏の著書『日本の難点』はベストセラー
東浩紀と氏は2008年6月に「公共性とエリート主義」のテーマでシンポジウムを開催した。
大塚英志:作家
『リアルのゆくえ』(講談社現代新書)は2008年8月に東浩紀と氏の共著で出版される。
東浩紀が「新しい書き手」と呼ぶ注目若手
宇野常寛社会学
福嶋亮大:評論家、中国文学者
大澤信亮:評論家
濱野智史:評論家
荻上チキ:評論家、編集者
西村博之2ちゃんねる創業者、現在4Chanの運営に携わっている。
東浩紀は「西村博之ほど「ふまじめ」で、しかも社会的に影響力のある人間はめずらしい」と語っている。
津田大介:ジャーナリスト

主な作品
存在論的、郵便的』第21回サントリー学芸賞受賞 東浩紀が最も評価された作品。
著書について東浩紀は「なぜ自分は哲学をやるのか」という問いに支えられながら書いたと語っている。
動物化するポストモダン』:東浩紀で最も知られている作品。
『オタクー日本のデータベース的動物たち』で英訳出版されている。
クォンタム・ファミリーズ』:第23回三島由紀夫賞受賞 東浩紀がはじめて著した小説。
「なぜ自分は小説を書くのか」という問いを作品にぶつけたという点で「私小説的」であると語っている。
『一般意志2.0』
『思想地図』
『ゲンロン0 観光客の哲学』:第71回毎日出版文化賞受賞
『弱いつながり 検索ワードを探す旅』:紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞
『ゆるく考える』
東浩紀は作品について、「長い試行錯誤の末、ようやく批評家として「やるべきことを発見した」、その過程を集めたエッセイ集」と語っている。


こうしてみると本というのは著者と様々な人達との関わりや時代の流れに支えられて世に出されるものなんですね。程度の差はあれど誰かの言葉や生き方が自分の人生に彩りを与えてくれる(と錯覚させるような体験)、それが本のもつ1つの魅力です。