『教育に関する考察』ロック(著) 服部知文(訳)

お久しぶりです。大分更新出来ずにいましたが、T-Bookは9回目になりました。


今回は『教育に関する考察』ロック(著) 服部知文(訳)です。


本作品で述べられているテーマは非常に奥が深く内容が多岐に渡っていたので、今回はその一部を紹介してコメントを加えていきます。


また、『メモの魔力』でお馴染みのSHOWROOM前田氏が以前話していた「身の回りにある物事を抽象化する訓練」にヒントをもらい、本作品にあるお気に入りの部分を自分の言葉で言い換えてみました。

 

では行ってみましょう。


①献辞

「わたくしは、誰しも出来る限りの奉仕を自分の国にするのが、すべての人の不可欠の義務であると考えており、このような考えなくして暮らしている人は、自分とその家畜をどこで区別しているのか、わたくしには理解できないのです。」

 

→「自分の国を支える義務がある」と考えるのが人間である。

 

②身体の健康について

「教育こそ、人間のあいだに大きな相違をもたらすものです。われわれの敏感な幼年時代に与えられた、わずかの、言いかえればほとんど感じられないくらいの印象が、非常に重大な、また永続きする影響を与えるのです。」

 

→教育という小さな種が人間の内に花を咲かせる。

 

③習慣について

「両親というものは自分の子供を可愛がるよう、うまく自然に運命づけられているものですから、もし理性がそのような自然の愛情を非常に用心深く監視していないと、まったく、愛情を逸脱させて溺愛しがちなものです。両親は自分たちのちびっ子どもを可愛がるしい、それが彼らの義務ですが、ときとして、子供と一緒になって、子供の欠点をも大事にするものです。」

 

→理性がない庭の手入れは望まない雑草を育たせる。

 

「こうして、両親は子供が小さいときにその機嫌をとり、甘やかして子供のうちにある生まれつきの性能を台無しにするのですが、両親は自分たち自身がその源泉に毒を入れておいたのに、後になって苦みのある水を味わうことになって不思議がるのです。」

 

→その優しさが命取りになる。

 

④賞罰について
「尊敬と不名誉は一度その味がわかると、他のなによりも精神にもっとも強力な刺戟を与えるものです。もし貴下が一度子供たちに面目を愛し、恥と不名誉を恐れることを浸し込ますと、貴下は、たえず作用し、子供たちを正しい方向に向ける真の原理を彼らに与えたことになります。」

→恐怖が個を殺すことで全体が守られる。

 

「父親か母親が、その息子にむつかしい顔をしているときは、ほかの人は誰でも、同じようにその子に冷たい顔をすべきで、その子供許しを乞い、自分の過ちを改めて、もとのように正しくなり、以前の信用を恢復するまでは、誰もその子に顔色を和らげてはならないのです。」

 

→全体が個を殺す。

 

⑤作法について

「両親が子供たちに山ほど規則を課して、その哀れな子供たちは10分の1も記憶できないし、まして実行できないという例を知っています。しかしながら、子供たちはこれらたくさんの、またしばしば要領を得ない規則を破ったために、小言を言われたり、叩かれたりして矯正されました。そこで当然どんなに注意を払っても、規則を破ることになり、それに続いてかならず叱られることが明らかになると、子供たちはなにを言われても気にもとめないようになりました。」

 

→教育の失敗は子供の無関心。


「年がいくにつれて、一つの規則が実行されて、充分確立すると、さらにつぎの規則を加えることができるのです。」

 

→教育の成功は多様性の失敗。


「すなわち自分の息子に尊敬してもらい、自分の命令を重んじてもらいたい人は、自分も、息子を尊重しなくてはならないということです。」

 

→教育という名の人間支配。


「正直に言うと、もっとも困難な部分は、最初の、すなわち一番年上の子の場合ですが、一度その子供がまともに行くと、あとの子はその子供によってどちらへでも思う方向へ容易に導いて行けるのです。」

 

→人間支配は父から子へ受け継がれる。


「しかし、子供たちを教育し、子供たちの作法を形成するためのあらゆる方法のうちで、もっともわかりやすくて、容易で、効果のあるものは、貴下が子供たちにさせたいことや避けて欲しい事の諸例を、目の前で見せてやることです。子供たちの知っている人物が実際にやっているときに、その良さあるいは見苦しさに若干の感想を加えて、子供たちに、その諸例が指摘されるなら、子供たちがその真似をするのを誘い、あるいは阻止するのに、子供にどんな議論をするよりも、もっと効果があります。」

 

→真似ることは最も安易で効果的な人間支配の方法である。

 


どうでしたか?
感想は様々あると思いますが、、、

 

確かなこと。

 

それは僕たちが今を生きていることです。


それはあらゆるものが変化し続ける現代社会です。

 

ここで僕たちが感じる違和感とは、はたして時代の流れによるものなのでしょうか?


また、僕たちが信奉している教育の価値というものはある特定の時代の知識人たちが思い描く理想論に過ぎなかったのでしょうか?


僕たちはそもそも「教育とは何か?」について考えていかなければならないのでしょうか?

 

多様性が尊重される未来において国籍も文化も歴史も違う人達が統一された「教育の理想」を掲げる社会は生きづらいと思います。

 

これは今後外国人労働者の増加する日本の教育が直面する問題なのかも。

 

結局僕には分かりませんでした。
今はただ違和感だけが残っています。


ではまた次回。

 

 

今回紹介できなかった後半のトピックはこちら!

家庭教育について
父親の権威について
子供の気質について
子供の自由と我儘について
泣き叫ぶことについて
臆病と勇気について
残酷さについて
好奇心について
懶惰について
仕事の矯正について
玩具について
嘘と言い訳について
徳について
知恵について
躾について
学習と勉学について
その他の身嗜みについて
手仕事について
海外旅行について
結論

 

気になる方は要チェック!