『小沢主義』小沢一郎

こんにちは、T-Bookです。

 

今回はひょんなことから手に取った小沢一郎氏の作品を読んでみました。

今回は特に目標を決めず、疑問も持たず、さらっと読んでしまいましたが、

いい意味で期待を裏切られました。

 

主なテーマとしては

日本人が持つべき責任、泥臭さの必要性、多様性、リーダー論などにおける考え方です。

 

どれもこれもどれもこれも

いつからか僕はこうした言葉を意識的に避けるようになっていました。

さらに言うと、こうした言葉や価値観を表明すること、されることに疲れてしまったのです。

それほどまでに今の社会は言葉が溢れている。

その言葉があまりにも無力に思えてならないのです。

 

みなさんはどうでしょう。

 

朝井リョウ氏の『死にがいを求めて生きているの』で印象的なシーンがありました。

 

それは以下のシーンです。

 

「やっぱりここでもう一発、原発とか尖閣とか、そういう重めの社会問題をテーマに据えるべきだと思うんだよな。ネットニュース見てるともうそのどっちかばっかりだし、注目されるって、絶対。俺が出る番組が放送されたらRAVERESの知名度ももっと上がるだろうし、今やるべきなのはレバーとかじゃなくて。」

「やるべき?」

青山が、パソコンの画面を向けていた視線を、与志樹の両目に向けた。

「やりたい、じゃなくて?」

突然訪れた沈黙に、音楽が流れ込んでくる。

 

 

「やるべき」という言葉に変な違和感を、妙な過剰反応を起こす人間たち。

私たちは自由という言葉を振り回し、一体どこに向かっているのでしょうか。

 

「自由には必ず責任が伴う。」

 

小沢氏はこのように本作品で何度も責任の在り方について述べています。

たしかに現代の若者には特に耳が痛い話も多いです。

ただ同じ日本人として、僕もその若者に加えられるのなら、

 

そうしたお説教やお節介を「古臭い」と切り捨てながらも

心のどこかでは強くそれを求めていることは確かです。

 

リーダーシップや父性が本当に答えとなりうるのでしょうか。

多様性が溢れる時代。多様性が喪失したこの時代に。

 

もはやどんな綺麗事でもハッタリでもいい。

客観的でも冷静でもないところから不意に飛び出してくる根拠のない

勢いだけの答えや態度に僕達は生きる価値を見出そうとしている。

 

 

言葉にしてしまえばひどく困難な時代のように思えますが、お互い頑張っていきましょうー。

 

 

てなわけで以下が本作品の内容です。

 

 

生き様

釈明と自慢を好まない

変わらずに生き残るには、みずから変わらねばならない。

 

 

政治論

民主主義国家の政治家へ

どぶ板選挙こそが本当の選挙。

政治家になるための勉強は存在しない。

「あれこれ考える前に行動する。有権者の中に飛び込んでみんなの話を聞く。これに勝る勉強はない」

「一人の人間が仕事を通じて得た知識や経験だけで政治をやってもらっては困る。それではともすれば、独りよがりに終わってしまいかねない。なぜなら、世間は広い。」

さまざまな仕事に就き、さまざまな境遇に置かれている人々の生活すべてを引き受けるのが政治である。

⇨「まずはさまざまな人たちのところへ飛び込んでいって、その人たちの話に耳を傾け、その人たちの抱えている問題を知ることである。」

「本当に政治家としての志を貫きとおすためには、まず自分の理解者を一人でも増やすことだ。自分の足元を固めるのが政治家として活動する上で最優先のことなのである」

本当の政治家は国民全体の利益を考える。そういう姿勢を保つことが本当の意味での支持者を作ることに繫がる。

日本書紀における仁徳天皇のエピソード

政治とは生活である。

どんなことにも寿命がある。

妥協するくらいなら、改革は最初からしないほうがいい。

権限と責任は一体化すべき。

 


日本社会の問題点

選挙の重さが理解されていない

マスコミの政治批判、「リーダー潰しをするマスコミ」

コンセンサス社会の日本で

自分の信念を持ち、自分の頭で決断して行動できる政治家がいなくなってしまった。

富の再配分を行う権利は官僚が握っている。

(膨大な統計データを処理し、適材適所に補助金を与えるプロフェッショナル官僚)

→政治の実務は官僚に任せきりになり、日本の内政は官僚に乗っ取られた。

日米安全保障体制で自ら考え行動し、責任を取る必要がなかった。

政策論争は形式だけのもの。

→既に両者公認の内容で決定している。

結果責任がない官僚を信頼する国民。

政策立案能力を持っていない政治家は官僚に依存してしまう。

価値観の多様性ではなく、価値観の喪失が現れている。

「出る杭は打たれる」

日本の社会では主体性を持ち、自分の価値観で行動する人間の足を引っ張ったり、批判する風潮がある。

「長い物には巻かれろ」

強者や権力者には逆らわずに生きるのが正しいとされたりする。

⇨思考や判断の放棄に繫がる。

リーダーとして選んでおきながら、まだ改革も進まないうちに、あれやこれやと理由をつけて足を引っ張るのは日本人。

教師の責任回避

 

 

その他

日本の食料自給率は現在カロリーベースで38パーセント。

http://www.maff.go.jp/tohoku/monosiritai/touhoku/jirei1.html


日本は平成29年度、韓国は28年度、スイスは平成27年度、それ以外の国は平成絵25年度の数値。


食料自給率=自分の国で生産している食料➗自分の国で消費する食料。

 

農産物を含む貿易の自由化

日本の農産物の質は世界でもトップクラスの水準であるという事実。

⇨日本の消費者の舌が肥えている、食の安全に対する意識が高いため。

⇨「もっと自分たちの作っているものに対して自信を持て」

農作物の輸入自由化に対してきちんとした対策を講じれば、日本の農家が困ることはない。

困るのは既得権益を失う農協や農水省だけ。

政治家は農協や農水省の反発を必要以上に恐れていて、本音を言わない。


「外国の農産物」

安価な肉や野菜

残留農薬の問題

BSE問題

 

 

日本の農業


農水省

旧・食管法

ー日本国内で生産されたコメをすべて国家がいったん買い上げるという統制経済的なことを行い、コメ生産農家を手厚く保護してきた。

⇨経済自由化、市場開放に伴って、農産物の価格操作は世界的に見ても許されない状況。


農家に対する直接払い

ー個々の農家に対して、直接的に補助金を支払い、農業経営を助ける方法。


⇨百害あって一利なし。

直接払いの対象は、一定規模以上の農地を持っている大規模農家のみに補助金を与えているため。補助金漬けは生産意欲を奪う。


零細農家を切り捨て、農業経営の大規模化、法人化を進めるやり方は、以前の大地主制を復活することにつながると同時に地域社会崩壊をもたらす亡国の政策。

 

 

日本の農家の現状


欧米諸国と違い、その多くを兼業農家が占めるが、たとえ零細農家でも農作物の質は高い。

⇨一生懸命に研究し、努力してきた結果。


日本は全体的にコンセンサス社会

何事を決めるにしてもメンバーの全員一致を旨とする社会のこと。

「和を以て貴しとなす」聖徳太子

 


リーダーとは?

順風満帆の環境にあるときは「強いリーダー」は必要ない。

「リーダーとは自分の目指すものを明確に掲げ、自分で決断し、自分の責任において実行できる人物である。」

現実の世界に模範解答はない。何かを選択するということは、何かを捨てるということでもある。

 


リーダーの資質とは?

①志を持つこと

②自立、主体性、自分の価値観を持つこと

③広い視野と先見性

④自分の言行に責任を持つ

歴史観を持つ


自由には必ず責任が伴う。


「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものだ。だが、この始末に困る人でなければ、艱難をともにして国家の大業をなすことはできない。」(西郷隆盛

 

 

読んだ後で小沢氏の印象結構変わりました。いい意味で笑

 

 

ではまた次回。