『父性の復権』林道義

こんにちは。T-Bookです。


今回は最近News Picksで落合陽一さんがボソッと呟いた

 

「日本には父性が足りない」という発言をきっかけに

 

「なぜ日本では父性が足りないのか?」というテーマについて考えていきたいと思います。


今回の参考文献は林道義氏の『父性の復権』です。


ではどうぞ。

 


父性とは何か?
「父」は楽で自然ではいけないのだ。そもそも父とは無理をしなければ務まらない役目であり、母が「自然」であれば父は「理想」なのだ。「しんどさ」に耐え、理想を追求するのでないなら存在意義がなくなる、というのが「父」なのだ。

 


父性の不足はどのようなところで見られる・見られていたか?
電車内でのおしゃべりが(女子学生だけでなく)男子学生の間で増えている。
⇨自分たちだけにしか意識をせず、まわりの人間に話を聞かれていることは完全に意識にない。
また、大声が他人に迷惑だという意識、話の内容がくだらないと思われる心配をしていないこと。

家庭内の会話でも、父は母と子の会話に加わらない。
「くだらない話をするな」「それは馬鹿な見方だ」などと口を挟むことはしない。自信がない。
母は私的な会話が特殊であるという意識が失われてしまう。
外の社会の基準や他人の眼で介入されるという感覚が失われるため、「恥ずかしい」という感覚がなくなっていく。

 


現代の問題点は?
不登校
父性の不足に関連した不登校のきっかけ
1 学校の規則の厳しさや窮屈さについていけない
2 周りの同級生から批判や攻撃を受けた

「いじめ」
当時の子供たちを対象に行ったある調査によると、9割の子供が「親に満足している」と答えた。
⇨子供たちは両親に対して不満を持っていないのではなく、母親の強いマインドコントロールによって自覚していないだけ。
父親がきちんとしたしつけをしようとか、なんらかの価値観を教えようとするならば、親子間の衝突や子供の反抗という現象が多く生じるはず。
⇨父が父の役割を果たしていない。現代の父親は「物分かりがよい」「優しい」「甘い」ことを表す。
例)家族を統合する、理念を掲げる、文化を伝える、社会のルールを教える
⇨自分が真に価値あると思った文化を教え込むのが父の最も大切な役割である。

価値観の多様化⇨価値観の喪失
家族がバラバラになる。
善悪の感覚のない人間が成長し、全体的視点のない利己的な人間や無気力な人間が増えている。
立派な父が育ちにくい現代社会。
そもそも立派という言葉が流行らない時代

子供は精神力がなく、無気力になりがちで簡単に不登校になったり、わががまになると「いじめ」に走るようになる。
規則に従うと自主性が無くなると思われていること。

もともと家庭で教えられるべき基本的な生活習慣を教えられていない。
「秩序というもの、ルールというもの」が必要だという秩序感覚、ルール感覚が恵まれていないから生じる問題がいくつか生じている。

 


なぜ父性は失われていったか?
いわゆる「立派な父親像」が尊敬の対象にならないため。
社会として、あまり立派ではない、むしろだらしのないくらいの父親のほうが親しまれる。

⇨「ありのまま」がよいとされ、「立派」なのは無理していると見られ、不自然だとみなされる。
例)友達のような父親
上下関係を意識的に捨てる対等な関係、価値観の押し付けはしない、子供の自主性を重んじる、

現代は理想の父性を語ることが難しい時代。

 

 

なぜ今取り戻すことが必要か?
友達のような父親では「自由な意思」を持つ子供が育つものの、「よい意思」を持つようにはならない
父の権威が健全に機能していないという状況が広範に見られるため。

 


どのように取り戻せるか?
父性としての必要な条件を備えること。
父性の理想を語ること。

 

父性の条件
1 まとめ上げる力
2 理念・文化の継承
3 全体的・客観的視点
4 指導力
5 愛

 

父性の権威
権威には「健全な権威」と不健全な権威主義がある。


権威が成り立つためには?
1 能力
例)技術的な能力、構成力、戦い守る力、まとめあげる力、判断力、組織力、政治力、指導力
2 信頼
正直、誠実、謙虚といった人格的な要素から生み出される。
3 知恵
4 愛

 

「子供との対話」という幻想を解く。
⇨「対話」というのは対等な人間同士で成り立つもの。
⇨「対話」とは本来母性的な仕事であるため、父親が独自の役目を果たしたとは言えない。

理念やポリシーを押し付けるような一方的な「語り」、父親の考えを一方的に示すこと。
例えば政治について、社会現象について、自分の仕事について、自分の人生観について、人との付き合い方について、機会があるごとに勝手に語る。子供の反応に対して反論しない。判断は子供に任せる。
流行を批判することのできる見識を持つ。
子供に感動を与える。
子供との間に一定の距離を置く。

複数の基準を設ける
例)
「美しさ」
「礼儀」
「ふさわしさ」


みなさんはどうでしたでしょうか?

このテーマは個人的に関心があって選びました。何かを考えるきっかけになれれば嬉しいです。


また内容とは全く関係ないですけど、本を読む前に自分の中である程度の「問い」を立てるのは効果的だと思いました。今回は読み進めながら、新たに導入できる問いや、答えが見つかりそうにないものは除いたりと、修正しながらまとめたつもりです。

似たようなスタイルは今後も続けていきたいですね。

 

 

 

ではまた次回。

 

PS

一応こちらが落合氏の真意みたいですね。

 

→「父性と自己責任について」

https://note.mu/ochyai/n/n11eaa361f84a

 

まあまあ近いって言えば近い気もする笑